2020年12月10日木曜日

薬に頼らないうつ病治療 認知行動療法

 うつ病治療で、薬に頼らない治療法の最も代表的なものの一つが認知行動療法ではないでしょうか。

認知行動療法は、思考など認知に焦点をあてることで発展してきた心理療法の技法の総称とされています。

認知行動療法は、不適切な反応の原因である、思考の論理上の誤りに修正を加えることを目的としており、認知、感情、行動は密接に関係しているとされています。従来の精神分析における無意識とは異なり、観察可能な意識的な思考に焦点があり、ゆえに測定可能であり、多くの調査研究が実施されてきました。

現在行われている主な治療法は、

マインドフルネス認知療法(MBCT)(別ページ参照):マインドフルネス認知療法は、瞑想の技法を取り入れ、自動生起する思考にとらわれることなく、あるがままの状態に集中するという訓練です。1979年に仏教的な実践を痛みの患者に応用したマインドフルネスストレス低減法(MBSR)を基として、1990年代にうつ病の治療のためにマインドフルネス認知療法(MBCT)へと変換されてきました。なお、マインドフルネス認知療法については、別ページでも言及しているので、そちらもごらんください。

弁証法的行動療法:境界性パーソナリティ障害に特化させて技法を開発し、感情が不適切だと感じたなら、正反対の行動をとることや、禅の技であるマインドフルネスという、自分の呼吸や、感情が生じては去っていくまでを行動せずにただ観察することといった、要素を持っています。

うつ病に関係するのは、MBCTになります。

日本では、2010年4月より、うつ病など精神障害の患者を対象として、16回を上限として、認知療法・認知行動療法の健康保険が適用可能となっています。

ところで、認知行動療法は、重病のうつ病患者に向いているとは、個人的には思えません。自分を見つめなおすことはそれなりに精神的に辛い作業であり、認知行動療法で行われる質問項目を読んでいるだけで、結構辛くなります。

ただ、軽度、中程度のうつ病患者の治療には成果を挙げているのは事実ですので、興味のある方は、まずは認知行動療法について、ネットで調べられてはいかがでしょうか。

また、名著として、デビッド・D・バーンズによる「いやな気分よさようなら」という本が出ています。




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